突然ですが、「ピグマリオンミーティング」というものをご存知ですか?
「ピグマリオン効果」という言葉なら聞いたことある! という方もいらっしゃると思います。
最近、この「ピグマリオンミーティング」を実践している企業が増えているそうです。
そこで、今回はこの「ピグマリオンミーティング」についてご紹介します。
そもそも「ピグマリオン」って何?
気になりますよね、何なの?と。
何かのキャラクターの名前?? それとも、建物か何かの名前??
「Pygmalion(ピグマリオン)」とは・・・
「ピグマリオン」とは、ギリシア神話に登場するキプロス島の王の名前で、「ピュグマリオン」とも表記される。
現実の女性に失望していたピグマリオンは、あるとき自らの理想の女性・ガラテアを彫刻した。その像を見ているうちにガラテアが付くを着ていないことを恥ずかしいと思い始め、服を掘り入れる。そのうち彼は自らの彫刻に恋をするようになる。さらに彼は食事を用意したり、話しかけたりするようになり、それが人間になることを願った。その彫刻から離れないようになり次第に衰弱していく姿を見かねたアフロディーテのーがその願いを容れて彫刻に生命を与え、ピグマリオンはそれを妻に迎えた。
(引用出典:Wikipedia)
音声学の教授であるヘンリー・ヒギンズが、強いコックニー訛りを話す花売り娘イライザ・ドゥーリトルを訓練し、大使のガーデン・パーティで公爵夫人として通用するような上品な振る舞いを身につけさせることができるかどうかについて賭けをするという物語である。
出展元:http://blog.goo.ne.jp/nryoko1220/e/f23b661120ce0e2fe28ab843edc41ce8
ヒギンズはこのために最も重要なことは、イライザが完璧な話し方を身につけることであると考え、これを教授する。この芝居は初演当時のイギリスにおける厳密な階級社会に対する辛辣な諷刺であり、かつ女性の自立に関するテーマをも扱っている。
(引用出典:Wikipedia)
冒頭で述べた「ピグマリオン効果」とは・・・
教師期待効果、ローゼンタール効果とも呼ばれるもので、1964年に米国の教育心理学者ロバート・ローゼンタールによって報告された概念で、
”無作為に選んだ子どもたちに、教師が、成績が向上するという期待を込めた眼差しを向けていたところ、その子どもたちの成績が向上した”、という内容のものです。
言い換えると、「人間は期待されると、そのとおりの成果を出す傾向がある」ということになります。
ピグマリオンミーティングってどのような効果があるの?
ピグマリオン効果は、「人に期待されるとそのとおりの結果を出す傾向がある」というものでした。
では、ピグマリオンミーティングを行うと、一体どのような効果があるのでしょう?
とっても簡単でとっても前向き!ピグマリオンミーティングの効果
実は、ピグマリオンミーティングには、自己肯定感を高める効果があるのです。
或る月曜日の朝、
毎週恒例の朝のミーティングを前に・・
「今日は何を言われるんだろう、月曜の朝はいつも憂鬱だ」、
そんなことを思いながら出勤する人もいるのではないでしょうか?
そして、そのミーティングの席上で、
上司や先輩から、「〇〇君、君は△△だから出来なくても仕方がないね」などの指摘や忠告をうけるケースを想定してみましょう。
忠告する側は、部下や後輩にヤル気を起こさせるため、あるいは発破をかけるつもりだったのかもしれません。しかし、受け手側は、そのときの言われ方やその場の状況如何によっては、ヤル気が一気にそがれてしまうこともあります。もちろん、重要なことを皆で共有するために、敢えてそういった話を皆の前ですることもありうるでしょう。
仮に、このような局面が一時あったとして・・
ミーティングがどのような終わり方をすると、
「今日はなんだか楽しい一日になりそうだ!」
「今日はいつもに増してヤル気が湧いている!」
「今日はなんでもできる気がする!」などと、
皆がその後の業務に、前向きに、気分良く取り組めるようになるでしょう?
一喜一憂という言葉があるように、人はある事柄の状況が変化するたびに、それに応じて喜んだり、楽しんだり、悲しんだり、心配したりします。このように、人の感情というものはそのときどきの状況によってコロコロ変化するものなのです。
たとえば、朝から、何か嬉しいことや楽しいことがあって ”良い日になりそうだな”と思った矢先に、ツイていないことが起こり、”やっぱり、今日はロクでもない日になりそうだ”と思い直したり..このような経験は誰にでもあると思います。
元来、私たちの脳は、恐怖などの強い感情を伴った記憶を残すようにプログラミングされています。私たちにとって重要なのは、命を守るために危険を回避することです。ですから、危ない体験などのような強い感情を伴ったネガティブな経験をすると、その記憶と感情は優先的に脳の中に残るようになっているわけです。このように、私たちは防衛感情に身を守られていることもあって、好む好まざるとに関わらず、マイナス思考になりがちなのです。
また、人の脳には、”人を喜ばせたいという本能”と”自己防衛本能”という2つの本能があります。特に、後者の自己防衛本能は、ある意味自分にとって都合のよい解釈をするように働くクセがあります。言い換えると、無意識のうちに、他のあら探しをするように働くということです。極端なケースでは、相手の悪いところ、欠点、短所などばかりが目につくようになってしまうということです。
このピグマリオンミーティングとは、共に行う仲間の ”過去や現在の良いところ、人間性や性格に関わる長所・よい面を徹底的に探して、具体的にそして徹底的に褒める” というトレーニングです。このトレーニングを行うことで、仲間の良い面に気づき、さらに仲間から自分が思いもよらなかった良い面を見つけてもらえることで新たな自分の長所にも気づけるようになるのです。
つまり、ピグマリオンミーティングには、自己肯定感を高めるトレーニングであり、私たち皆の気分を良くする心理トレーニング、私たち皆に嬉しい気持ちをもたらすメンタルトレーニングとも言えるのです。
一時的にネガティブな感情をもっていたとしても、ピグマリオンミーティングを行うことで感情が変化し、ポジティブな感情に置き換えることができるということです。
「ピグマリオンミーティング」をすると・・・
「ピグマリオンミーティング」を実践すると、次のような効果が期待できます!
◆ みんなの感情がポジティブになる!
感情がポジティブになると、
◆ ポジティブ思考になり、ヤル気が湧いてくる!
ヤル気が湧くと、
◆ モチベーションが高まり、前向きに行動することができる!
他にも、
・職場が明るくなった
・家族がさらに仲良くなれた
・周りの人のいいところを見つける習慣ができた
・会社に行くのが楽しくなった
・離職率が減った
などの効果が報告されています。
ちょっと試してみようか、と思いましたか?
では「ピグマリオンミーティング」はどのように行うの??
この「ピグマリオンミーティング」、実際どのように行うのでしょうか?
ピグマリオンミーティングのやり方
やり方はとてもシンプルです。
◆ 相手の良い面を徹底的に探して、具体的にそして徹底的に褒める
(褒められ役1名に対して、褒め役は30〜60秒間、褒め続ける)
◆ 褒め役は、「本当にそう思っている」という真剣さが相手(褒められ役)に届くように、全身を使ってその思いを表現する
◆ 褒められ役は、相手(褒め役)の真剣な眼差しと思いを全身で受け止められるように、恥ずかしがらずに、目線を外さずに感謝の念をもって聞く
それだけです!
そして、褒めてもらったら「素直に受け取る」のがコツです。
「そんなことはないです」はNGです!
褒めてくれた相手に「ありがとう」と感謝の念を伝え、そのまま受け取ってください。
日本人は、褒められると謙遜する風潮があります。
褒められても「いえいえ、そんなことないです」となりがちです。
しかし、それではピグマリオンミーティングの効果が半減してしまいます。
ですから、少し恥ずかしいかもしれませんが、褒めてもらったら「ありがとう!」と素直に受け止めましょう。
具体的なやり方は以下のとおりです。
①褒められ役の順番を決める
たとえば、参加者が6人いたら、どの順番で褒められるかを決めます。
②参加者が順番に褒めていく
最初の褒められ役が決まったら、その人の「いいところ」を順番に全員で褒め合います。
褒め役の持ち時間は、褒められ役一人に対し30秒〜60秒です。ですから、褒める内容をたくさん用意しておく必要があります。だからといって、褒める内容は何でも良いというわけではありません。「髪がキレイ」「顔がカワイイ」「英会話に長けている」などのような相手の外見、能力や技術的なことを取り上げるのではなく、人間性や性格などに対象を絞って褒めるようにしましょう。
始める前に少し時間を割き、予め一人ひとりの良い面や長所について紙やノートなどに書き出しておくとスムーズに進行すると思います。
③褒められ役を交代していく
全員で褒め終えたら、①で決めた順番で褒められ役を交代し、続けていく。
褒められると・・・
如何でしょうか、やり方は簡単ですよね!
褒める内容を徹底的にリストアップすることが、最初は少し難しく感じるかもしれません。
でも、大丈夫です。
次第に慣れてきます。
人から褒められると、どんな気持ちになりましたか?
・うれしい
・誇らしい
・気持ちが軽くなった
・目の前が開けたように感じた
・幸せな気分になれた
・自信がもてた
・自分にもそんないいところがあったんだと気づくことができた
などなど
謙虚さという美徳を隠れ蓑に、日本では「いいところ」を褒め合うという習慣がなかなか根付きませんでした。
その一方で、昔から「褒めると伸びる」という言葉があります。
今まで、意識して”褒める”ことを実践してみたことはありましたか?
どちらかといえば、逆に怒ってばっかりだったとか・・
何かができなかったときに、
「なんでこんなこともできないんだ!」と怒った口調で言ったらどうなるでしょう?
言われた方は、確実にヤル気が失われます。
一方で、「そうそう、そこはできてる。すごいじゃないか!」とでも..
まずは、出来ていることに注視して認めてあげるとどうなるでしょう?
にっこりと微笑んで、出来ていないところもやってみようとヤル気が高まる可能性もあります。
まとめ
褒めまくるトレーニング、「ピグマリオンミーティング」は如何でしたか?
注意されることに慣れている私たちは、人を注意することは容易にできるのですが、褒められ慣れていないので、人を褒めることをとても難しく感じてしまいます。つまり、普段、褒められていないので、自分がどのように人を褒めればよいのかがわからないということです。
簡単なようで、慣れていないと難しいということです。
この状況を打破する意味合いも含めて、
人の良いところを徹底的に探し、具体的に徹底して褒め合う「ピグマリオンミーティング」を、是非試してみてはいかがでしょうか?